昨年12月頃からビットコインについて耳にする機会が格段に増えてきたと思います。
聞こえてくる話は、1億円以上も儲かった人がいるとか、逆に損した人もいるとか……。
それでは、ビットコインに投資したほうがよいのでしょうか?しないほうがよいのでしょうか?
正しい投資判断をするためには、ビットコインの仕組みについて、理解する必要があります。
表面だけの情報で投資をすると失敗する可能性が高くなってしまいます。
ビットコインの仕組みを理解すると、ビットコインは投資に値するものかどうか、自分なりの意見をもてるようになります。
そして、投資する場合、やり様によって、儲けられるかどうかが変わってきます。
以下では、今さら聞けないビットコインの仕組みについて、わかりやすく簡単に説明します。
ビットコインで儲けるための正しい知識を身につけましょう。
目次
ビットコインとは何か?
ビットコインの仕組みの説明の前に、そもそもビットコインとは何かについて知っておく必要があります。
仕組みは目的を実現するための手段なので、仕組みの前に、ビットコインは何か、何を実現するためのものなのかについて知っておくべきなのです。
ビットコインは、紙幣や硬貨のような現物の貨幣を持たない仮想通貨です。
インターネット上で電子的方法によって決済されます。
また、ビットコインは、銀行のような金融機関を介さなくても、送金先に直接送金できる仕組みになっています。
金融機関を介さないということは、金融機関の営業時間外である夜間早朝や休日でも送金することができるということです。
また、円やドル等の法定通貨であれば、国によって異なる通貨を利用しているため、国際送金をする場合は、両替が必要になり、その分、手数料や日数が必要になります。
その点、ビットコインの場合は、全世界共通で使うことができるので、海外に送金する場合でも両替が不要であり、そのための手数料や日数は不要です。
また、政情が不安定な国の通貨は、ハイパーインフレが起こり、通貨が紙くず同然の価値しかなくなってしまうことがあります。
そのような国の人々が、自国の法定通貨に替えてビットコインを持つことで資産を保全する役割も期待されています。
ビットコインの仕組み
ビットコインについて、大まかなところを説明したところで、次は、ビットコインの仕組みについて説明します。
ビットコインは、テクノロジー面と、投資対象としての側面があるので、それぞれ分けて説明します。
まず、テクノロジー面についてのビットコインの仕組みについて説明します。
ビットコインの送金の仕組み
ビットコインは、どのような仕組みで金融機関を介さずに送金することができるのでしょうか?
金融機関等がメインコンピュータで管理する中央集権型であるのに対し、ビットコインはPeer to Peer(ピア・トゥ・ピア、P2P)ネットワークという分散型とっています。
金融機関等は、なぜ中央集権型をとっているのでしょうか?
分散型が優れているのであれば、金融機関も分散型にすればよいのではないでしょうか?
金融機関が中央集権型をとっているのにも意味があります。
メインコンピュータで取引を管理しなければ、不正が行われるおそれがあるのです。
AさんがBさんの口座にお金を振り込んだことは、銀行のシステムに記録されますので、AさんとBさんの間で振り込みの事実について争いが生じたとしても容易に事実を証明することができます。
また、AさんがBさんに送金したら、その分Aさんの口座残高から減額する処理をしなければなりませんが、このような処理も金融機関のメインコンピュータが行っています。
それでは、ビットコインでは不正は起こらないのでしょうか?
この点、ビットコインにも不正が起こらないようにするための仕組みがちゃんとあるのです。
ビットコインのマイニングの仕組み
ビットコインでは、約10分ごとに、すべての取引の整合性が検証、記録されます。
そして、そのようにして記録された台帳は万人が見られるように公開されているのです。
取引の整合性の検証と記録に成功した人には、報酬として12.5BTC(約1400万円)と送金者が任意に設定した送金手数料が支払われます。
このような取引の整合性の検証と記録を行うことによってビットコインを得る行為のことを、金山から金を採掘する行為に見立てて、「マイニング」(mining、「採掘」の意味)、この作業を行う人のことをマイナー(miner、「採掘者」の意味)といいます。
なお、マイニング報酬は12.5BTCで固定されているわけではなく、約4年に一度、半減期が到来し、半額になります。
ビットコインが出来た当初のマイニング報酬は50BTCでしたが、2012年11月28日に半減期が到来し、25BTCになりました。
さらに、約4年後の2016年7月9日には、また半減期が到来し、マイニング報酬は12.5BTCになったのです。
次の半減期は2020年6月23日頃に到来すると予想されており、半減期到来後のマイニング報酬は6.25BTC になります。
その後も約4年ごとに半減期が到来して、その都度、マイニング報酬は半額になり、2040年頃には、マイニング報酬は完全になくなり、以降は、送金者が任意に設定する送金手数料だけがマイナーへの報酬になります。
ビットコインの送金には最低でも10分ほどかかり、場合によっては、丸1日以上かかることもあります。
前述の通り、ビットコインの取引の整合性が検証、記録されるのが、約10分ごとなどで、最低でも10分はかかるのです。
送金に10分かかるということは、お店でビットコインによってさっと会計をすることは不可能なように思われます。
しかし、ビットコイン決済ができるお店もあり、10分待たなくても決済が可能です。
そのようなお店では、どのようにして決済しているのでしょうか?
それは、クレジットカードのように、決済会社が信用を担保することによって成り立っています。
実は、お店は、一切ビットコインを受け取っていません。
客が支払ったビットコインは、ビットコイン決済サービス会社によって、日本円でお店に支払われるのです。
この時、決済手数料として、数パーセント割り引かれた金額がお店に支払われることになっています。
ところで、ビットコインの送金時間は、なぜ10分もかかるのでしょうか?
もっと短縮することはできないのでしょうか?
実は、この送金時間を短縮することも可能なのですが、ビットコインはあえて10分に設定しています。
その理由は、複数のマイナーが、同時にマイニングを完了するという事態が頻繁に生じると困るからです。
取引が記録された各ブロックは、チェーンのように連なって、取引の整合性を担保します。
同時にブロックが生成されると、このチェーンが分岐することになり、その時点では、その後、どちらのブロックが連なっていくか決まりません。
次のブロックが先に連なったほうが正当なブロックであるとみなされます。
もし、ブロックが同時生成が頻繁に生じたとしたら、なかなか正当なブロックチェーンが定まらないことになってしまい、混乱をきたします。
利便性と取引の安定性を比較衡量した結果、ビットコインではブロック生成時間を10分にすることにしたのです。
ビットコインが儲かる仕組み
これまで説明したような送金手段としてよりも、むしろビットコインは投資対象として利用され、広く知られるようになりました。
どのような仕組みで投資対象となりえるのでしょうか?
ビットコインの価格が、購入した時の金額よりも上昇し、その後、売却すれば、購入した金額と売却した金額との差額が利益になるのです。
ただし、当然ながら、「価格が下がったら財産が減る」というリスクがあります。
しかしながら、ビットコインの価格は激しく上下するので、下がっている時は売らずに、再び上昇し、購入時の価格を超えてから売るようにすれば損することを避けられます。
もっとも、上がりっ放しで、購入時の価格までは二度と戻らない可能性もあるので、いくら以下になったら損切り(損失が拡大しないように売ること)するということを事前に決めておくとよいでしょう。
そうしないと、「もう少し上がるかもしれないから、もうちょっと持っておこう」と考えているうちに、ずるずると損失が拡大してしまうおそれがあります。
相場には下値支持線が存在します。
下値支持線とは、ある金額までは下がるが、その金額で買いが入って、それ以上は下がらないラインのことです。
しかし、下値支持線を割ってしまうと、大幅に下落してしまう可能性が高いので、下値支持線を見極めて、損切りポイントを下値支持線よりも少し下に置いておくとよいでしょう。
また、反対に、どのくらいの利益が出たらよしとするかについても事前に決めておいたほうがよいでしょう。
下値支持線の反対は、上値抵抗線と言います。
上値抵抗線で抵抗を受けて、その後価格が下落することが予測される場合は、上値抵抗線付近で一旦売却して、利益を確定しておくことが重要です。
できるだけ高い価格の時に売却した方が、利益を最大化できるので、上値抵抗線がどこにあるか、チャートを分析して当たりをつけるようにしましょう。
ビットコインの価格が下落フェーズの時は一切儲けることはできないのかというと、そのようなこともありません。
空売りという手法によって儲けることは可能です。
空売りとは、ビットコインを持っていない状態で売って、後から買い戻すことです。
売った時よりも価格が下がった時に買い戻せば、差額を利益にすることができます。
空売りは、ビットコインの現物取引では行うことができず、信用取引や先物取引で行うことができます。
また、信用取引や先物取引ではレバレッジといって、預け入れている資金以上の金額で取引を行うことができます。
例えば、100万円で購入したビットコインが200万円に値上がりして売却した場合、通常の売却益は100万円ですが、レバレッジを10倍にして取引を行った場合、資金は100万円でも、1000万円で購入して2000万円で売却することができるので、利益も10倍となり、1000万円の利益が得られることになります。
ただし、損失が生じてしまった場合も同様に10倍の金額になってしまいますので、ハイリスクハイリターンの取引と言えます。
信用取引に対応している取引所は、bitFlyer(ビットフライヤー)とZaif(ザイフ)です。
ビットコインの儲け方としては、投資のほか、マイニングで儲ける方法もあ
りますが、マイニング市場については既に成熟しており、個人で儲けることが難しくなっています。
マイニングプールと呼ばれる高性能で高価格なマイニング専用機を大量に用意して、インドや中国等の電気代の安い国で組織的にマイニングを行う企業に、個人のPC一丁で立ち向かうことはほとんど不可能でしょう。
個人でもマイニングプールの一員として参加できるマイニングクラウドというサービスもありますが、やはり、電気代の高い日本で、一般的なPCで参加しても収益化することは難しいでしょう。
赤字になる可能性があります。
ビットコイン相場の仕組み
ビットコインの相場の仕組みについて、説明します。
株やFXの経験者にとっては当たり前のことなので、知識のある方は読み飛ばしてください。
まず、用語の説明ですが、その時々の商品の値段のことを「相場」といいます。
株や為替と同様に、ビットコインも、その時々で値動きがあります。
ビットコインの相場は、どのような仕組みで決まっているのでしょうか?
実際に取引された価格が、その時のビットコインの価格です。
この価格の積み重ねが相場を作り、その相場をグラフにしたものをチャートと言います。
それでは、取引はどのようにして成立するのでしょうか?
取引は買いたい人と売りたい人がいて、初めて成り立ちえます。
しかし、価格が折り合わなければ取引は成立しません。
買い手はできるだけ安く買うことで、売り手はできるだけ高く売ることで、利益を最大化します。
例えば、「100万円なら買ってもよい」という人と「200万円なら売ってもよい」という人がいても、価格が折り合わず、取引が成立しないのです。
買いたい人が買いたい価格と、売りたい人が売りたい価格が一致して、ようやく取引が成立するのです。
ですので、買いたい人は、あまりに安く買い注文を出しても買うことはできないので、「このくらいだったら売ってくれる人がいそうだな」という現実的なラインで買い注文を出すことになります。
そのラインは、前述の下値支持線を想定してみるとよいでしょう。
そのためには、チャートも読めるようになっておく必要があります。
下図はビットコインのチャートです。
チャートの見方については、「ビットコインのリアルタイムチャートと今後の相場予想」をご参照ください。
ビットコインの購入の仕組み
ビットコインは仕組みが理解できたところで、ビットコインの購入方法の説明に移ります。
ビットコインを日本円で購入できる場所には、仮想通貨取引所と仮想通貨販売所があります。
取引所の方が手数料が安い(または、かからない)ので、取引所で購入するようにしましょう。
販売所の方が、ぱっと見、取っつきやすそうなので、販売所で購入してしまう初心者の方もいますが、取引所も簡単なので、以下の説明を読んで取引所で購入したほうがよいでしょう。
なお、以前は街中に設置されているビットコインATMでも購入できましたが、現在は購入できなくなっています。
仮想通貨交換業の営業には金融庁の登録が必要になり、ビットコインATMは本人確認等の条件をクリアできておらず、登録されていないためです。
また、対面取引での購入を持ち掛けられることもあるかもしれませんが、詐欺や送金ミスによる喪失等のおそれもあるので、取引所で購入したほうがよいでしょう。
なお、取引所には、金融庁に登録されている会社と、金融庁の登録審査を通過していないものの、暫定的な処置として営業が許可されている会社があります。
金融庁に登録されている会社の方が、セキュリティ面等で安心できるので、登録されている取引所で購入するようにしましょう。
なお、先月(2018年1月)、仮想通貨NEM(ネム)の盗難事件を起こしたCoincheck(コインチェック)は、登録審査に通過していませんでした。
このような事件に巻き込まれて資産を失うリスクをできるだけ避けるためにも、きちんと登録が済んでいる取引所で購入すべきなのです。
登録が済んでいる取引所には次のような取引所があります。
上のリンクから飛んで、メールアドレスを登録して、口座開設の手続きをしましょう。
ビットコインの価格は、刻々と変化し、また取引所によっても異なります。
口座改正を申請してから、実際に購入するまでに数日かかるため、その間にも価格は上下します。
購入する際に、取引所を比較して最も安い価格で購入できるように、上記の4つすべての取引所に口座開設を申請しておくとよいでしょう。
また、取引所によって取引画面が異なり、人によって好き嫌いがあるので、4つの取引所に口座開設をして、画面の操作感を確かめて、扱いやすい取引所をメインに据えるというのでもよいでしょう。
なお、取引所によって手数料が異なりますが、高額の売買を頻繁に繰り返すのでなければ、それほど大きな差にはならないため、気にする必要はありません。
手数料の差よりも、価格差の方がずっと大きいので、そちらを重視すべきです。
メールアドレスや住所、氏名等の基本情報を登録すると、取引所から口座開設に関する郵便物が送られてきます。
それを受領したら、口座開設の手続きは完了です。
次に、入金手続きに移ります。
ビットコインは、取引所の口座にお金を振り込んで購入する方法と、クレジットカードで購入する方法とあります。
しかし、クレジットカード払いに対応していない取引所もありますし、対応していたZaif(ザイフ)でも、現在はクレジットカードでのビットコイン購入を停止しています。
今後はクレジットカードで購入に対応する取引所は益々減る可能性があります。
また、クレジットカードで購入する場合は、入金手続きが不要なので、手軽ではありますが、7.5%~10%も手数料がかかります。
銀行振り込みで入金したほうがお得なのです。
そして、銀行振り込みの場合は、住信SBIネット銀行が、手数料面でもスピードの面でも優れています。
取引所の多くは、住信SBIネット銀行に口座を持っており、住信SBIネット銀行では、住信SBIネット銀行同士の口座同士の振り込みには手数料がかからず、また、営業時間外でも即時振込が可能です。
住信SBIネット銀行に口座をもっていない場合は、取引所に口座開設を申し込むと同時に、住信SBIネット銀行の銀行口座の開設も申し込んでおくとよいでしょう。
住信SBIネット銀行の口座開設は、こちらのページから申し込めます。
入金方法を日本最大の仮想通貨取引所であるbitFlyer(ビットフライヤー)のPC用の画面を元に説明します。
まず、左メニューの中に「出入金」という項目があるので、それをクリックします。
移動した先のページに、「三井住友銀行」と「住信SBIネット銀行」があるので、三井住友銀行から振り込む場合は「三井住友銀行」を、住信SBIネット銀行から振り込む場合は「住信SBIネット銀行」をクリックします。
この2行以外の銀行の場合はどちらもでも構いません。
銀行名をクリックすると、振込先が表示されるので、表示された口座に振り込みます。
住信SBIネット銀行の場合は、振込名義人名の前に5桁の数字を付けます。
そうすることで、営業時間外でも早く入金が反映されます。
入金が完了すると、取引所からメールが届き、残高に反映されます。
続いて、ビットコインの購入方法について説明します。
前述の通り、ビットコインは取引所のほか、販売所でも購入することができますが、同じ会社が取引所と販売所と両方を運営しているケースもよくあります。
bitFlyer(ビットフライヤー)もその一つです。
左メニューの「ビットコイン販売所」が販売所で、「ビットコイン取引所」が取引所です。
わかりやすいですね。
「ビットコイン取引所」をクリックして、取引所で購入しましょう。
取引所画面には、BTC数量と価格の入力窓がそれぞれあります。
それぞれの入力窓に買いたい数量と買いたい価格を入力します。
価格は、入力しなくても、この画面にアクセスした時点での最も安い売り注文の価格が自動的に入力されています。
この価格でよければ、すぐに約定するでしょうから、そのまま数字を変更しなくても構いません。
もっと安い価格で購入したければ、金額を更新します。
あまりに低い金額を指定しても、いつまで経ってもその価格に落ちてこずに、なかなか約定しないおそれがあります。
前述の下値支持線を想定して、それよりも少し上の価格を指定しておくとよいでしょう。
そして、赤地に白抜きで「コインを買う」と書いてあるボタンをクリックすると注文が出されます。
相場が指定した金額になると、自動的に約定するので、画面を開いたままにしておく必要はありません。
約定すると、メールで通知してくれます。
約定したら、日本円の口座残高が減って、BTCの口座残高が増えていることを確認しましょう。
ビットコインのデメリット
これまでの説明でビットコインのメリットを説明してきましたが、デメリットもあります。
以下にまとめました。
- 価格が安定しないので通貨として使いにくい
- 犯罪で得た金のマネーロンダリングに使われる可能性がある
- 送金に最低10分はかかるため店舗等での即時決済は向かない
- 送金が混んでくると丸1日以上送金にかかることもある
- ビットコイン価格の上昇に伴い送金手数料も上昇してきており、法定通貨の送金に比べて必ずしも割安でなくなってきた
- マイニングにかかる消費電力
- 急死した場合等は相続できない可能性がある
- イーサリアム等の第2世代の仮想通貨に比べて機能面で劣る部分がある
デメリットも理解したうえで、投資の判断をしてください。