昨年1月時点では9万円ほどだった1BTC(ビットコインの単位)の価格は、昨年12月には220万円を超え、実に25倍以上に膨れ上がりました。
このビットコインの高騰によって、大きな利益を得た人も数多くいます。
利益が出ることは嬉しいことですが、税金のことでわからないことがあって心配な人も多いのではないでしょうか?
税金について、知らないと損をすることが数多くあります。
以下では、損をしないために絶対に知っておくべきビットコインに関する税金のことについてまとめたので、是非、参考にしてください。
目次
ビットコインで儲けたお金に税金はかかるのか?
まず、そもそもビットコインで儲けたお金に税金はかかるのでしょうか?
結論から言うと、かかります。
課税対象
それでは、何が課税の対象なのでしょうか?
課税の対象は、ビットコインの売買で得た確定した利益です。
例えば、ビットコインを100万円で買って、値上がり後、200万円で売ると、100万円の利益が生じるので、この利益が課税対象となります。
しかし、含み益は対象となりません。
含み益とは、まだ売却していなくて未確定の利益のことです。
例えば、ビットコインを100万円で買って、値上がりして200万円になると、100万円の含み益がありますが、まだ売却していなければ、確定した利益はないため、課税の対象とはなりません。
そして、課税対象となるのは、売却した時だけではありません。
ビットコインを使った時も課税されます。
つまり、ビックカメラ等のビットコインを使えるお店でビットコインを使って買い物をした場合、その時のレートでビットコインを売却したのと同様の取り扱いを受け、課税の対象となるのです。
また、他にも、課税対象となるケースがあります。
ビットコイン以外にもイーサリアム等の仮想通貨がありますが、仮想通貨から仮想通貨に交換することも利益確定になります。
例えば、100万円でビットコインを買って後、ビットコインが値上がりし200万円の時に、ビットコインをイーサリアムに替えたとします。
そうすると、100万円分が確定利益となり、課税の対象となります。
イーサリアムを換金していなくても、100万円分は課税の対象となってしまうのです。
また、例えば、イーサリアムが半値に値下がりし、ビットコインの値上がり分の利益がなくなったとしても、損切りをせずに含み損の状態で年末を迎えた場合は、100万円は課税の対象となったままです。
半値になったイーサリアムを、換金するか、他の仮想通貨に替えれば、その時点で損切りとなって、ビットコインをイーサリアムに替えた時の利益と相殺されるので、課税は生じません。
なお、上記の通り、ビットコインを他の仮想通貨と交換した場合も、利益確定となるので、確定した利益の額をはっきりさせるために、その時点のビットコインの円建ての価格を調べて証拠として残しておかなければなりません。
ビットコインの価格は取引所ごとに異なりますが、確定利益の金額計算のための価格は、どこの取引所の価格でもよいわけではありません。
それを認めてしまうと、税額の計算上、有利になるように参照する取引所を選ぶことができてしまうからです。
合理的かつ一貫性のある基準によって参照する取引所を決定しなければなりません。
ビットコインを他の仮想通貨と交換した取引所がビットコインと日本円の取引を行っている取引所であれば、その取引所の価格を参照するとよいでしょう。
ビットコインを他の仮想通貨と交換した取引所が、海外の取引所等のようにビットコインと日本円の取引を行っていない取引所であれば、ビットコインを日本円で購入した取引所のビットコインの価格を参照するとよいでしょう。
また、その場合に、ビットコインを円建てで購入した際に複数の取引所を利用していた場合は、最も多く購入した取引所の価格を参照するとよいでしょう。
また、ビットコインの価格はコンマ何秒単位で変化するので、ビットコインを他の仮想通貨と交換した丁度その時点のビットコインの円建て価格を調べることは極めて難しいでしょう。
ですので、分単位の価格を調べて、その分の最高値と最安値の中央値を、ビットコインを他の仮想通貨と交換した時のビットコインの円建て価格とするとよいでしょう。
税金がかかるタイミング
以上のとおり、利益を損失は相殺することができますが、期を跨いで損失を繰り越すことはできません。
個人の場合、決算月を変更する自由はなく、12月末で期が締まります。
ですので、既に確定した利益があって、かつ含み損を抱えている場合は、節税のために、年内に損切りをして利益を相殺するのもよいでしょう。
また、反対に利益がなく、含み損だけを抱えている場合は、損失を確定させずに含み損のまま翌年に持ち越すと、翌年に生じた利益と相殺することができます。
海外の取引所を利用した場合のビットコインに関する税金
海外の取引所で仮想通貨を購入した場合でもあっても、国内で購入した場合と比べて、税務上の取り扱いに何らの違いもありません。
また、海外の取引所では、仮想通貨をドル等の外貨に交換することもできますが、このような外貨に交換した際も、円建てで換算された利益に対して課税されます。
さらに外貨を円と交換した際に、為替差益が発生した場合も課税の対象となります。
海外在住の場合のビットコイン関する税金
海外在住の(海外に住んでいる)場合はどうでしょうか?
海外に住んでいる場合は、基本的には住んでいる国の税制に従うことになります。
ただし、海外に住んでいても日本に対する納税義務が生じる場合もあります。
例えば、日本に1年の半分以上滞在している場合や、配偶者や子供などの扶養家族を日本に残していて送金しているような場合には、納税義務が生じる可能性が高いでしょう。
ビットコインで儲けたお金にかかる税率はどのくらいか?
ビットコインで儲けたお金も、所得なので、所得税がかかります。
所得税の税率は、基本的には、次のように定められています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税対象の所得金額が、900万円の場合の税額は、次の式で求められます。
900万円×23%-63万6000円=143万円4000円
143万4000円が税額です。
勘違いしやすいポイントを1点説明します。
上表を見ると、税率が階段式に上がっていくように見えるため、その階段を上がらないように所得をセーブしたほうがよいのはないかと考える人がいますが、それは勘違いです。
ある金額を境に税額が跳ね上がることなく、なだらかな累進課税になるように控除額が設定されているからです。
例えば、所得が900万円までは税率23%ですが、900万1円からからは33%になりますが、税額が跳ね上がるわけではありません。
所得が900万円の場合の税額は、上の計算で143万4000円であることがわかりましたが、試しに所得が900万1円の場合の税額も計算してみましょう。
次の式で計算することができます。
900万1円×33%-153万6000円=143万4000円33銭
このように税率が10ポイントも上がっても、税額は33銭しか上がっていないことがわかります。
所得が1円しか上がってので、税額が1円以上上がらないのは当然と言えば当然ですね。
なお、1円未満の税額は切り捨ててよいので、33銭は無視して構いません。
ちなみに、所得税の計算の元となる所得額は、ビットコインで儲けた所得だけではありません。
会社等の勤めている場合は給料も所得に含まれますし、副業で得た所得も含まれます。
ただし、合算しない所得もあります。
株式の譲渡益やFX等の為替差益等がこれに当たります。
また、ビットコインで儲けたお金にかかる税金は、所得税だけはありません。
復興特別所得税と住民税もかかります。
復興特別所得税は所得税額の2.1%が、住民税は所得の額の5%がかかります。
先ほどの所得が900万円のケースでは、所得税は、143万4000円でしたが、復興特別所得税と住民税がそれぞれいくらになるか計算してみます。
復興特別所得税:143万4000円×2.1%=3万156円
住民税:900万円×5%=45万円
以上から、900万円の所得に対する税金をすべて合わせると、次のようになります。
143万6000円+3万156円+45万円=191万6156円
ビットコインで儲けたお金にかかる税金の計算方法
以上、所得にかかる税金の計算を説明しましたが、税金の計算の前に所得額を計算しなければなりません。
給与所得は勤務先が出す源泉徴収票で確認できますが、ビットコインの譲渡益はどのように計算すればよいのでしょうか?
1回買って1回売っただけであれば、単純に差額を計算すればよいのですが、実際は複数回に分けて購入して、複数回に分けて売却したという人が多いでしょう。
複数回に分けて購入・売却した場合、通常は、都度、購入単価や売却単価が異なるでしょう。
そのような場合の単価の算出方法として、総平均法と移動平均法があります。
総平均法は次のように計算します。
まず、その年にビットコインの購入に使った金額を、購入したビットコインの枚数で除して(割って)、購入単価を算出します。
次に、その年にビットコインの売却で得た金額を、売却したビットコインの枚数で除して(割って)、売却単価を算出します。
このように、その年に購入・売却したすべてのビットコインの総平均を求めてそれぞれの単価を割り出すのが総平均法です。
これに対して、移動平均法は少々複雑で、売却した時点までの購入単価を元に利益を計算します。
文章で説明しても、今一つピンとこないでしょうから、例に当てはめて説明します。
下表はAさんが1年の間に行ったビットコイン取引を表しています(数量が、正の数の場合は購入、負の数の場合は売却)。
取引日 | 数量(BTC) | 価格(BTC/JPY) |
---|---|---|
2017年1月12日 | 1 | 80,000 |
2017年12月17日 | -1 | 2,200,000 |
2017年12月22日 | 1 | 1,300,000 |
文章化すると、1月12日に1BTCを8万円で購入し、12月17日に値上がりした1BTCを220万円で売却し、値下がりした12月22日に1BTC を買い足したということになります。
このような取引の利益を総平均法と移動平均法とでそれぞれ計算してみます。
収入は、どちらの方法で計算しても違いはなく、売却で得た220万円です。
違いが出るのは取得単価の計算についてです。
まず、総平均法で計算した取得単価は次のようになります。
(80,000円×1BTC+1,300,000円×1BTC)÷2BTC=690,000円
1BTC売却しているので、この年の原価は次のようになります。
690,000円×1BTC=690,000円
そうすると、この年の利益は次のようになります。
2,200,000円-690,000円=1,510,000円
次に、移動平均法では、取得単価は80,000円になります。
前述の通り、移動平均法では、売却時点で12月22日購入分は関係ないため、計算に含めないのです。
そうすると、原価も80,000円で、利益は次のようになります。
2,200,000円-80,000円=2,120,000円
そうすると、総平均法で計算したほうが利益が低くなり、税額も低くなるので、総平均法の有利なように思えますが、移動平均法で計算したほうが利益が低くなる場合もあります。
また、その年の税額において、計算方法によって有利不利が生じても、翌年の税額の計算では前年の計算で不利だったほうの計算方法が有利になります(翌年に繰り越されるビットコインの原価に違いが生じるため)。
総平均法と移動平均法のどちらを計算に利用するかは、納税者が任意に選んでよいことになっていますが、翌年以降も同じ方法で計算しなければなりません。
ですので、トータルで見ると大きな違いはありません。
この点について、先ほどの例を元に少し掘り下げて説明します。
翌年に繰り越されるビットコインの購入原価は、総平均法による場合が690,000円で、移動平均法による場合は1,300,000円になり、総平均法のほうが680,000円低くなります。
当年の原価は、総平均法が690,000円、移動平均法が80,000円で、移動平均法のほうが610,000円低かったので、翌年分も通算して考えれば、これらの計算方法に特段の有利不利はないといえます。
ビットコインの税金対策
税金逃れが税務署にばれない方法はあるのか?どのようにしてばれるのか?
税金逃れはばれない方法は基本的にはありません。
調べられれば、ばれてしまいます。
ただ、額が小さい場合は、調査の手が回らないこともあるでしょう。
しかし、確定申告の翌日から7年間は消滅時効が到来しません。
つまり、いつ来るかわからない税務調査に7年間もおびえて暮らさなければならないのです。
しかも、税金逃れがばれると、追徴課税され、余計に税金を払わなければならなくなってしまうほか、懲役刑に処せられる可能性もあります。
ところで、ビットコインで稼いだ所得の脱税は、どのようにしてばれるのでしょうか?
国内の仮想通貨取引所は、すべて本人確認が行うように行政から指導されており、すべての取引所はこれに従っています。
ですので、国内の仮想通貨取引所で大きな利益を上げた場合、その情報は国税局に筒抜けなのです。
それでは、海外の取引所を使えばばれないのでしょうか?
そう甘くはないようです。
まず、日本円から仮想通貨を購入できるのは、国内の取引所しかありません。
国内の取引所でビットコインを買った後に、そのビットコインを海外の取引所に送ったとしても、結局、再度日本円に替えようとすれば、国内の取引所に送って換金するしかありません。
日本で生活する以上、入り口と出口をしっかり押さえられているので、税金逃れは難しいのです。
ちなみに、ダークウェブと言って、秘密裏に仮想通貨の交換を行えるような場所も存在しますが、日本円に換金するためには、結局、日本の取引所か銀行を経由することになりますので、ばれないことは難しいと思います。
勿論、仮にばれない方法があったとしても、脱税は犯罪ですし、国は税金によって成り立っているので、税金逃れは絶対にいけません。
具体的な税金対策
税金対策としてまず考えられるのは、経費を計上して、所得を算出する際に収入から差し引くことです。
経費の額が大きければ大きいほど、所得は低くなり、節税になります。
ただし、支出なら何でも経費として計上できるわけではなく、仮想通貨取引で利益を出すために必要な支出でなければ認められません。
例えば、次のようなものが経費にできると思われます。
- 取引手数料、出入金手数料
- 書籍代、新聞代、その他有料情報費用
- セミナー等への参加費、交通費、宿泊費
- 光熱費
- 通信費
- PC代
- ハードウォレット代
ここで、注意点が2つあります。
ひとつは、10万円以上、かつ、法定耐用年数1年以上の物は資産扱いとなり、経費計上のルールが異なるという点です。
資産扱いとなる物は、買った年に一括で費用計上することはできません。
法定耐用年数で分割して費用計上しなければなりません。
このような費用計上の方法を減価償却といいます。
法定耐用年数は、物の種類ごとに「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められています。
例えば、PCなら4年と定められています。
20万円のPCなら、毎年、5万円ずつ4年間計上します。
年の途中で使い始めた場合は、月ごとに分割します。
例えば、7月からつい買い始めた場合は、始めの年は6か月分の2万5千円、その後3年間はそれぞれ12か月分で5万円ずつ、最後の年は6か月で法定耐用年数に達してしまうため6か月分の2万5千円を計上します(最後の年は、正確には2万4999円で、1円残す決まりになっています。)。
なお、以上のような減価償却の方法を定額法といい、このほかに定率法という分割方法もありますが、個人の場合は基本的には定額法で計算しなければなりません(定率法で計算する場合は事前に申請を出して許可を得なければなりません。)。
また、単品で10万円未満であっても、セットで10万円以上の場合は、やはり資産になります。
例えば、PC本体は9万円だけども、周辺機器を合せると10万円以上になるような場合です。
なお、課税標準額が150万円以上の資産には固定資産税が別途かかりますが、ビットコイン取引の必要経費で150万円以上の物が必要になることはないでしょうから省略します。
また、10万円以上の資産の費用計上について、減価償却以外にも2つの方法があります。
ひとつは一括償却で、もうひとつは少額減価償却資産の特例を利用する方法です。
一括償却が認められるのは、20万円未満の場合のみです。
一括償却は法定耐用年数にかかわらず3年で償却することになっています。
少額減価償却資産の特例を利用できるのは、青色申告でかつ、当該資産が30万円未満の場合です。
この特例を利用した場合は、一括で費用計上することができます。
しかし、仮想通貨取引に関して青色申告することは、あまりないでしょう。
なお、仮想通貨の譲渡益は、「雑所得」に分類されます。
ウェブ上の情報では、開業届を出すことで、これを「事業所得」にして、節税メリットを出すことが紹介されていますが、仮想通貨の譲渡益を事業所得として申告しても、税務署に「これは雑所得でしょ」と弾かれてしまう可能性が高いのではないかと思います。
仮に事業所得とすることが認められた場合は、個人事業税として、290万円を超える所得の5%を納めなくてはならないので、節税メリット以上に負担が超える可能性があるので、注意が必要です。
法人がビットコインで儲けた場合の税金
個人事業主が会社を設立して会社から役員報酬を受け取るようにすると税金が安くなることがあります。
それと同じように、仮想通貨投資も、会社名義で行ったほうが節税になることがあります。
なぜ、会社名義の方が節税になるのでしょうか?
ポイントは給与控除です。
個人の名義で投資を行って得た利益は給与ではないで、給与控除の対象とはなりませんが、会社名義で投資を行い、会社から役員報酬を受け取るようにすれば、給与控除を受けることができます。
ただし、役員報酬は基本的には年に1回しか変更できないため、利益が出たら増やして、利益が出なかったら減らすということができません。
役員報酬は、事業年度の開始から3か月以内に株主総会(または社員総会)で確定し、それから1か月以内に税務署に届出なければなりません。
正確に言うと、年度の途中で変更することもできるのですが、変更した場合は報酬の一部が経費としても認められなくなってしまうことがあります。
給与控除以外にもいくつかポイントがあります。
法人には個人では認められない様々な経費計上の方法があります。
例えば、自分以外にも、家族に業務を手伝ってもらっている場合は、その人への給与を経費にすることができます。
従業員の場合は、役員と違い賞与を損金として計上することもできるのですが、家族の場合は従業員であっても役員とみなされ、賞与を損金にできない場合が多いです。
ですので、家族従業員への賞与を法人利益の調整弁とすることは避けるべきです。
そして、自宅兼事務所の家賃や購入費用も会社名義で契約すれば、経費にすることができます。
個人事業でも、自宅兼事務所の家賃や購入費用の一部を経費にすることができますが、法人の場合は全額を経費にすることができます。
ただし、自宅として使用している分は、家賃として会社に支払わなければなりませんが、それでも、個人の場合よりも節税効果は高いでしょう。
しかも、前述の通り、仮想通貨の投資業を個人事業として税務署に認めてもらうことは難しいので、なおさら法人化したほうが有利と言えます。
また、生命保険料、退職金、出張の日当等も経費とすることができます。
このほか、所得を分散し、その結果として節税できるというのも法人化のメリットです。
前述の通り、家族を従業員にして所得を分散させることもできますし、法人に利益を残しておくこともできます。
個人の場合は、所得税と住民税を合わせて、最大で55%を納税しなければなりませんが、これに対して、法人の実効税率は30%弱です。
大きく利益が出た場合に、数年に分けて会社から報酬をもらうことによって税率を低く抑えることができます。
以上の通り、法人を設立して、法人名義で仮想通貨取引を行うことは、かなりの節税効果が既定できます。
しかし、どのような場合でも必ず法人化した方が得なのでしょうか?
確かに法人化した方が節税になるケースもありますが、一概にそうとはいえません。
その理由は主として2つあります。
ひとつは、あまり利益がでずに、節税効果よりも法人化にかかる費用の方が大きくなってしまう場合です。
ビットコインの利益を法人に帰属させるためには、元から法人名義でビットコインを購入しなければなりません。
個人で購入したビットコインを法人に贈与する場合は贈与税がかかります。
また、個人から会社に売ったとしても、市場価格でも安く売った場合は、その分はやはり贈与とみなされます。
また、売った段階で個人に利益が出ていれば、個人に所得税がかかります。
ですので、始めから法人名義で購入したほうがよいでしょう。
しかし、大抵の場合、税金の心配をするのは、ビットコインが高騰して含み益が大きくなった後です。
「ちょっと買ってみるか」という段階で、お金をかけて会社を設立するのは、その後上がらなかったときのことを考えると、なかなか難しいでしょう。
設立費用は、株式会社で30万円、合同会社で10万円ぐらいかかります(仮想通貨取引だけの目的の会社であれば合同会社で十分でしょう)。
そして、会社設立の準備のための時間も必要です。
株式会社で3週間、合同会社で1週間は必要です。
その間に買い時を逃してしまうリスクもあります。
また、会社の決算は税理士に頼むことになるでしょうから、その費用も年間30万円ほど必要です。
また、社会保険料についても法人化すると加入が必須となり、負担が増えることが多いでしょう。
また、赤字でも法人住民税の7万円ほどは必ず払わなくてはなりません。
あとは、会社のお金を自由に使えないのもデメリットといえます。
役員報酬として定めた額以上にお金が必要になった場合に、会社からお金をもらうと、その分は損金として計上することができません。
会社からの貸付というかたちをとることはできますが、無利息で役員に貸し付けることは禁止されています。
ビットコイン投資の場合、事前にどの程度の利益が出るか、見積もるのが難しいため、税務上有利な案配の役員報酬を定めることが難しく、現実的ではないかもしれません。
既に会社を経営している場合に、会社の余剰資金で投資するという程度に留めておくならよいのですが、ビットコイン投資のために、わざわざ一から会社を作ることは、お勧めできません。
ビット コインで儲けた場合の確定申告の方法
ビットコインで儲けた所得を納税するためには、確定申告をしなければなりません。
サラリーマンの場合、確定申告する機会はあまりないでしょうから、以下にて説明します。
確定申告をしないといけない場合としなくてもよい場合
確定申告は給与所得以外の所得が20万円以下の人は確定申告しなくても構いません。
20万円を超える場合は確定申告が必要です。
確定申告書類の作成方法
確定申告書類の作成方法として、手書きとPC上で作成する方法とがありますが、PC上で作成するほうが楽なので、ここではPC上で作成する方法を中心に紹介します。
まず、国税庁サイト上の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
次に、「申告書・決算書 収支内訳書等 作成開始」をクリックします。
そして、「書面提出 印刷して郵送等で提出」をクリックします。
ICカードリーダライタを持っていればe-Taxでも構いません。
確認事項を読んだうえで、「下記のチェック項目についてはすべて確認済みです」にチェックを入れて、「事前準備完了 次へ>」をクリックします。
そして、「所得税コーナーへ」をクリックします。
次に、赤地ボタンの「⇒作成開始」をクリックします。
「申告される方の生年月日」の入力窓に、自分の生年月日を入力し、「申告書の様式をイメージした入力画面で申告書を作成する」にチェックを入れ、「入力終了(次へ)>」をクリックします。
「収入金額等」の欄にある「給与」をクリックします。
源泉徴収票の通りに入力します。
仮に源泉徴収票の内容に誤りがあったとしても、ここでは源泉徴収票の通りに入力します。
「入力終了(次へ)>」をクリックします。
複数の事業所から給与をもらっていて源泉徴収票は複数ある場合は、「もう1件入力する」をクリックして、入力します。
ほかに入力すべき源泉徴収票がなければ、「次へ」をクリックします。
「収入金額等」の欄にある「その他」をクリックします。
「上記以外(報酬等)」の欄にある「入力する」をクリックします。
そうすると、「個人年金以外の雑(その他)所得の入力」画面に移ります。
「報酬などの支払者の氏名・名称」ごとに入力するようになっていますが、仮想通貨取引で得た収入は、取引所から支払われているわけではないので、厳密に取引所ごとに入力しなくても構いません。
ひとつにまとめてしまった方が楽でしょう。
ひとつにまとめる合は、名称欄には「各種仮想通貨取引所」というように入力し、場所は空欄で構いません。
種別には「仮想通貨」と入力し、収入金額と必要経費を入力します。
収入金額は、仮想通貨の売却金額から購入金額を差し引いた金額です。
必要経費には、手数料や電気代、通信費、PC代等の必要経費の合計額を入力します。
事前に、雑所得の収支内訳書を作成し、それを元に入力するようにしましょう。
源泉徴収額は空欄で構いません。
仮想通貨以外にも個人年金以外の雑所得がある場合は、下の欄に入力していきます。
個人年金以外のすべて雑所得の入力が終わったら、「入力終了(次へ)>」をクリックします。
確認画面に移るので、金額を確認し、間違えがなければ、「入力終了(次へ)>」をクリックします。
このほか、利用できそうな所得控除の項目を入力していきます。
例えば、年末調整で申告していない保険料がある場合は保険料控除を、ふるさと納税等の寄附を利用している場合は寄附金控除を、その年に一定額以上の医療費負担があった場合は医療費控除を入力します。
控除の入力が終わったら、「入力終了(次へ)」をクリックします。
ポップアップで納税額等が表示されるので、確認して「OK」をクリックします。
次に、住民税についての項目に移ります。
「住民税・事業税に関する事項」をクリックします。
住民税は、給与から差引いて徴収する方法と、自分で納付する方法があるので、希望する方法を選択します。
自分で納付する方法を選択した場合、原則として、雑所得分の住民税だけでなく、給与分の住民税も自分で納付することになります。
雑所得分の住民税のみ自分で納付したい場合は、確定申告後、速やかに、その旨を市区町村役場に伝えましょう。
電話で伝えても構いません。
徴収方法を選択したら、扶養家族等の情報を入力します。
続いて、住所や氏名などの情報を入力し、納付方法を選択します。
納付方法には次の4通りがあります。
- 電子納税
- クレジットカード納付
- 振替納税
- 現金納付
電子納税は、インターネットバンキング等による納税方法です。
クレジットカード納付には手数料がかかります。
納税方法を選択したら、最後にマイナンバーを入力します。
「申告書等作成終了 次へ」をクリックします。
「帳票表示・印刷」をクリックすると、PDFファイルがダウンロードされます。
このPDFファイルを印刷して、「印刷終了 次へ>」をクリックします。
印刷した申告書に署名、捺印し、源泉徴収票、マイナンバーカードの写し、雑所得の収支内訳書等を貼付して税務署に提出します。
雑所得の収支内訳書に記載内容を証明するための明細も添付しなければなりません。
取引所の入出金や取引履歴を印刷して添付するとよいでしょう。
提出は、郵送でも持参でも大丈夫です。
仮想通貨対応の確定申告に便利なアプリ・ソフト
仮想通貨の所得を確定申告する際に便利なのが、「会計free for 仮想通貨」です。
このアプリを使えば、取引履歴のCSVファイルを取り込むだけで、損益通算を自動算出することができます。
しかし、難点が2つほどあります。
ひとつは、移動平均法に対応していないという点です。
もっとも、場合によっては移動平均法で計算したほうが税金が安くなることがありますから、そういった事情で、どうしても移動平均法で計算したいという場合は、このアプリは使えません。
もうひとつの難点は、有料だということです。
月額の使用料が980円(税抜)かかります。
とりあえず確定申告だけしたい場合は、1か月間だけの利用でも大丈夫でしょう。
30日間の無料お試し期間があるので、使用感に不安があれば、まず、無料で試してみるとよいでしょう。
しかし、無料期間中は申告書類の出力はできません。
ビットコインに相続税はかかるのか?
ビットコイン等の仮想通貨を相続する場合は、他の財産と同様に相続税がかかり、また、贈与する場合には贈与税がかかります。
ここで問題になるのが、その仮想通貨の評価額をどのように算定すべきかという点です。
この点について、明確な指針は、いまだ示されていません。
相続開始日(被相続人の死亡日)の価格が基準になりそうですが、仮想通貨の価格は1日の中でも刻一刻と変化しています。
株式の場合は、市場が開いている時間が決まっているので、その日の終値を基準とすることができます。
この点、仮想通貨市場は、24時間開いているため、終値が存在しません。
何らかの指針が示されるまでは、相続開始日の最高値と最安値の中央値を評価額とするのが無難なように思います。
ビットコインに消費税はかかるのか?
ビットコイン等の仮想通貨の売買に消費税はかかるのでしょうか?
現在はかかりませんが、2017年6月以前はかかっていました。
海外でもほとんどの国では仮想通貨の売買に消費税はかかりません。